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弁護士コラム

SNS発信で気を付けること その2 違法にならない他人の著作物の使い方

SNS発信で気を付けること その2 違法にならない他人の著作物の使い方

〇はじめに

自分でコンテンツ作成をする場合、他者の著作物を利用することがあり得ます。

例えば、

・ゲーム実況

・歌ってみた(踊ってみた、弾いてみた)などの実演

・商品開封動画

・マンガ、ドラマ、映画などのレビュー

といったものが考えられますが、それぞれ法律上の問題はあるのでしょうか。

 

〇法律的な問題点と解説

1 法律に触れるか

(1) ゲーム実況

ビデオゲームは、一般的に映画の著作物に該当するとされています。ただし、静止画ばかりのゲームや、ストーリー性のないアクションゲームについては否定された例もあります(東京高判平成11年3月18日)。

ソフトを自分で購入したとしても、「著作権」まで買いとったわけではありません。著作者の権利は、譲渡権が適用除外になる(著作権法26条の2第2項)だけで、それ以外は残っています。そのため、許諾を得ずにゲーム内容を配信してしまうと、上映権・公衆送信権の侵害となる可能性があります。

 

(2)歌ってみた・踊ってみた

楽曲は音楽の著作物です。そのため、演奏権や公衆送信権を侵害する可能性があります。

また、楽曲の著作者が1967年までに死亡していて著作権が切れているとしても、流通している音楽の場合、レコード会社・音楽プロダクションに「レコード製作者」としての著作物に関する権利(「著作隣接権」。同89条)も発生していることがあります。

CD音源から取り込むような場合、複製権(同96条)やネットに送信できるようにする権利(送信可能化権。同96条の2)に抵触することがありえます。

 

(3)扱われるもの次第で、著作権の問題があります

例えば、カードやシールの場合、そのイラストは絵画の著作物です。後述するように程度次第ですが、配信画面に映すことで複製権や公衆送信権の侵害となる可能性が考えられます。

また、立体の場合、美術の著作物としての保護がありえるほか、意匠権のような別種の権利が関わる可能性もあります。

(4)レビュー

マンガ・ドラマ・映画それぞれが著作物であり、著作権で保護されます。扱い方次第で著作権侵害となります。

例えば、映画については、元の映画を短く編集し直した「ファスト映画」について、2021年6月に初の著作権法違反としての逮捕者が出ました。さらに、この時逮捕された3名には、翌年5月末、映画会社13社から計5億円の損害賠償請求がなされています。このファスト映画では、元の映画を動画の素材としたことについて複製権侵害、動画製作のために再編集したことについて翻案権・同一性保持権侵害、配信サイトへの投稿について公衆送信権侵害が問題となっています。

テレビ映像やマンガの画像を転載する際にも、同様の問題点がありえます。

 

2 違法にならないための対策

⑴ 権利者の承諾を得る

ア はじめに

著作権は権利者が行使するものですから、その権利者から利用について承諾をもらっていれば問題になりません。

もっとも、その承諾された範囲(例えば「アダルトコンテンツには利用しない」など)から外れれば、権利を侵害することになります。

また、著作権は譲渡が可能なものですから、その時点での正当な権利者から許諾を得ているかには注意が必要です。

 

イ 承諾の取り方

もっとも単純な方法は、権利者に直接連絡を取り、必要な料金を支払うことで承諾を取ることです。

 

権利者によっては、あらかじめガイドラインを定め、事前承諾をしている場合もあります。例えば任天堂株式会社は、自社が著作権を有するゲームの映像や画像の利用についてガイドラインを定めています。このガイドラインに従った利用であれば、個別の許可を取らずに利用できます。

 

さらに、配信を行う媒体によっては、サービス提供者が利用者のために包括的な使用許諾を得ていることもあります。例えば、Youtubeを運営する株式会社Googleやニコニコ動画を運営する株式会社ドワンゴなどは、元の権利者から委託されて音楽に関する著作権を管理するJASRAC(社団法人日本音楽著作権協会)や株式会社NexToneと契約し、自社サービスでの楽曲利用について許諾を受けています。そのため、Youtube・ニコニコ動画などでは、これらの管理団体に登録された楽曲(ネット利用許可が出ていない楽曲は除く。)を個別許可なしで利用することができます。

ただし、JASRACやNexToneはレコード会社が持つ著作隣接権までは管理していません。そのため、伴奏にCD音源(原曲)を利用するには、配信媒体の運営者がレコード会社と包括的利用許諾契約を結んでいるか、自身で個別許可を取り付ける必要があります。

よく「無伴奏なら歌を配信しても著作権的に大丈夫」と言われるのは、このためです。

 

⑵ 著作権法が例外として許可している使い方をする

ア はじめに

著作権法は文化の発展も目的にしているため、文化の発展を妨げるような場合には著作権を制限する仕組みになっています。

アメリカではフェアユース(公正な利用)の法理として、「①利用目的・②作品の性質・③使用の量・市場への影響から評価して問題がなければ著作権侵害にならない」という抽象的な形で著作権を制限する考え方が規定されています。

他方、日本では、この考え方は直接には採用されていないため、具体的な著作権法の例外規定に当たることが必要です。具体例を挙げると、個人的・家庭内で使用する「私的使用」のための複製(30条)や、屋外に恒常的に設置された美術品や建造物の利用(46条)などです。

配信用の動画を作成する場合には、個人・家庭内のでは収まらない以上、中心的な制限規定である私的使用には当たりません。しかし、付随著作物の利用(同30条の2)や、引用(同32条)としての制限が有効に使えるでしょう。

 

イ 「付随著作物の利用」

撮影等に際して、主要な被写体に付随して軽微な構成部分として撮影対象となった著作物については、その著作物の利用目的や分離の困難性、果たしている役割などに照らして正当な範囲であれば、利用できるという規定です。つまり、本来意図していた撮影対象ではなく小さく画角に入ってしまっているものや、偶然映ってしまった著作物については、著作権侵害になりません。

例えば、漫画を読みながら感想を語っていて本の中身がわずかに映ってしまったような場合、街中を歩く姿を撮影していたら貼ってあったポスターや流れていた音楽も撮れてしまった場合などがこれに当たります。

 

ウ 「引用」

公表された著作物は、引用して利用する場合にも著作権侵害になりません。

どのようなものが「引用」といえるか、著作権法には、明確な説明がありません。そのため、裁判例の判断の積み重ねから次のような条件が設定されています。

 

a 区別性

他人の著作物を引用する部分と自分の著作物の部分が明確に区別されていることが必要です。自分のものと混ざってしまって別人の表現だと分からない状態では、引用とは言えません。背景の工夫や強調表示などで区別することが考えられます。

 

b 主従関係

質でも量でも引用部分が中心になってはいけないというものです。引用する量が多くなると、この条件をみたすことができなくなりがちです。

例えば、マンガのレビュー動画で引用をする際に、画像を直接使わなくても、セリフ全部を表示したり読み上げたりすると、そのセリフがコンテンツの中心になってしまい、引用と言えなくなるでしょう。過去に、マンガのセリフや情景を細かく文字に起こして公開していたサイトが著作権法違反として摘発・書類送検となっている例があります。

 

c 引用が公正な慣行に合致するもので、引用の目的上正当な範囲内であること

条文で言及されている条件です。目的に応じて必要な範囲でだけ引用することが要求されます。

「他人の著作物を引用しなければ作品が成立できない」という状況であれば必要性があり、引用として許されやすいでしょう。しかし、単に「関係ない画像だが、自分のコンテンツに載せれば目を引く」というような程度の理由では、引用を行う正当な範囲とは言えません。

 

d 出典が明示されていること

その引用をどこから持ってきたのかを明確にしなければならないということです。著作権法48条で要求されるほか、上述の「公正な慣行」の要素とも言えます。

本の内容ならば書名や作者・出版社、Webサイトから引用ならばサイト名やURLを示します。

 

e 改変しないこと

他人の著作物を引用するときは、そのまま引用しなければなりません。著作者人格権の中に、自分の著作物の内容を勝手に変えたり削ったりされない権利(同一性保持権)があるからです。

引用する際に、どうしても要約やトリミングが必要になることもありますが、元の意味や趣旨が変わって伝わるようだと不適切です。

 

 

これらの条件に合致しないと、「引用」ではなく無断転載として法的に問題が生じます。

監修者情報
弁護士風見 美瑠

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